メロヴィング朝②―武器・行政・起源神話あたり
引き続き飛び飛びでメモっていく。
フランク族の武器3点セット
フランク族の代表的な武器はこの3つ。別にフランク族専用ではないが、セットで使うのがフランク族の戦い方だった。
フランキスカ(投げ斧)
長さ約50cm、総重量約1.4kg。回転しながら飛んでいき、15m以内なら命中率が高かった。フランキスカという名前自体が「フランク族の斧」という意味で、後のフランスという国名の由来にもなっている。
アンゴン(投槍)
掛り鏃(返しのついた矢じり)を持つ長い投槍。釣り針の返しと同じ構造で、刺さったら抜けない。
単体では「でかいのに返し要るか?」となるが、用途が「殺傷」ではなく盾の無力化だった。
- アンゴンを投げて盾に刺す
- 垂れ下がった槍の重みで盾が使えなくなる
- 隙だらけになったところにフランキスカをぶち込む
この2点コンボが基本戦術。対盾特化の槍として設計されている。えげつない。
スパタ(長剣)
近接戦用の締め。コンボの最後。
フランク族の起源は嘘
11世紀の『アンノの歌』によると、トロイア滅亡時に逃げたトロイア人の指導者「フランコ(Franko)」がライン河畔に「小トロイア」を建設してフランク人が誕生したという伝説がある。
現代の歴史学的には完全な虚構だが、フランス王家がトロイア人の英雄と自分たちの系譜をつなげるために政治利用した。この伝説は少なくとも7世紀の『偽フレデガリウス年代記』まで遡る。
ちなみにローマも「アエネイアスというトロイア人が逃げてきて先祖になった」という起源神話を持つが、これも初代皇帝アウグストゥスのプロパガンダ用に書かれた叙事詩『アエネイス』が出典で、史実ではない。
フランク族「トロイアから来ました」
ローマ「俺たちもトロイア人の末裔です」
フランク族「じゃあ俺たちもローマの親戚ってことで」
嘘の上に嘘を重ねて起源にした。日本の武士が「俺、源氏の末裔なんで」をやりまくってたのと完全に同じ。人類普遍の箔つけ詐欺。
メロヴィング朝の行政構造がカオス
ナーロッパでよく見る「公爵→伯爵→男爵」みたいな綺麗なピラミッドは封建制が整備されてからの話。メロヴィング朝はその前段階でぐちゃぐちゃ。
王
├── 大公(dux) ←征服した外縁部族の長を任命、半独立
└── 都市伯(comes) ←直轄地の都市ごとに王が任命する行政官**大公(dux)**はアレマニエンやバイエルンなどもともと独立していた部族の指導者に、フランク王が称号を与えて組み込んだもの。完全な家来でもないが独立もしていない。外様大名に近い。
**都市伯(comes)**は王の代理人として税の徴収・裁判・軍の招集を担当する知事的な役職。この時点では世襲ではなく王が任命・解任できる「役職」にすぎない。
これが後に世襲化・固定化されていくことで「〇〇伯爵」みたいな封建的な貴族になっていく。メロヴィング朝時点では「役職と支配が混在して体系化されていない」状態だった。
そりゃ宮宰に乗っ取られる。
続きあれば③へ。